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がんと診断されると、一般的に3大治療と呼ばれる「外科治療(手術)」「放射線治療」「抗がん剤治療」で治療計画が立てられることが標準的な治療法となります。早期に発見されたがんを治療するには、外科手術や放射線治療の局所的な治療法がとられますが、進行したがんや転移が見られる場合などは局所的な処理では対処ができませんので、全身を対象とした抗がん剤などの治療を組み合わせながら経過を見て行きます。
抗がん剤は、基本的に増殖の早い細胞を標的としてその生育を阻害する薬で、点滴や飲み薬で全身に行き渡るため、増殖スピードの速い他の正常な細胞にもダメージを与えることから重い副作用というリスクがついてきます。これが患者さんやご家族の精神的肉体的に重い負担となります。
ところが、こうした外的な処置でがんを100%制圧できれば問題ないのですが、残念なことにがんは残り、また新たに生まれて成長していく可能性が高いのです。
そこで、人が生まれながらにして持っているがん制圧の免疫システムを活性化する治療法が、今最も注目されている『がん免疫療法』です。
古くから免疫とがんとの関係については研究が進められていましたが、2000年以降、がんと免疫の関係が科学的に証明され、さらに2004年に米国でがんの免疫編集説が発表されたことにより、一気にがん治療への期待が高まりました。
自分自身の免疫力を高めていく過程においては、患者さんやご家族の大きな悩みの一つでもあった副作用の心配がありません。抗がん剤や放射線など外的な治療でがん細胞を弱めると同時に、先端技術で内的な力を活性化させていく免疫療法とのコンビネーション。がんの種類を問わず、QОLを維持しながら、従来の三大治療を補完する数々の成果が近年続々と発表され、がんに拘る関係者の大きな希望となっています。
免疫は、いつでもどこでもがん細胞の芽をパトロールして見つけ次第消していきますから、局部にとどまらず全身のがん発症を監視、抑制する働きをしてくれます。従って、がん患者の治療にももちろん効果を発揮しますが、再発防止や遺伝的な心配を抱える方々の予防的な観点からも、非常に効果が高い治療法として注目されているのです。
がんに対する免疫反応の過程を治療にうまく応用させたのが、がん免疫療法です。これには、大きくわけて、がんワクチン療法、樹状細胞療法、活性化リンパ球療法があり、さらにリンパ球療法には、Tリンパ(T細胞)療法、NK細胞療法、NKT細胞療法、γδT細胞療法があります。
がんワクチン療法は、がん抗原をがん細胞から直接とったり、または人工的に合成したものをワクチンとして投与するものです。この療法では、がん抗原が体内に取り込まれたあとリンパ節へ到達して樹状細胞に情報を与え、さらにT細胞がその情報を受け取って増殖・活性化し、さらにリンパ節をでてがん病巣へ向かう、という長い過程が秩序だって起こることが前提となります。 免疫力が高い健常な人には効果がでるかもしれませんが、がん患者さんは一般に免疫力が落ちているために、がん抗原が樹状細胞に取り込めるか、T細胞を活性化できるのか、その効果にはやや不安定な要素があるのが現実です。
樹状細胞療法は、がんワクチン療法に近い方法ですがステップを一段階省く方法です。血液から取り出した単球を樹状細胞にして、これにがん抗原を与えてがん情報を教え込み、体内に戻すものです。投与した樹状細胞はリンパ節へいき、T細胞にがん情報を渡し活性化させます。樹状細胞が直接がん細胞を殺すわけではありませんので、がん情報を確実に攻撃できるT細胞に提示しかつ増殖させることが必須です。また皮内に投与した樹状細胞のうち、どのくらいの細胞がリンパ節まで到達できるのかも検証されなければなりません。がんワクチン療法同様、免疫力が低い患者さんの免疫システムの機能に依存しますので、やはり効果は不安定になります。最近ではリンパ節を通さず、樹状細胞を直接がん病巣の中へ注射する方法がとられるようになってきています。
活性化リンパ球療法は、血液からリンパ球を分離し体外で大量に増やしてから、ふたたび体に戻してがんを治療しようとするものです。がんワクチンや樹状細胞療法と違い、体内でおこるがん抗原の受け渡しという過程を必要とせず、直接がん細胞を攻撃する細胞を増やし、活性化させます。活性化リンパ球療法には、Tリンパ(T細胞)療法、NK細胞療法、NKT細胞療法、γδ(ガンマデルタ)T細胞療法があります。それぞれの細胞の活性化により狙うターゲットや方法が変わりますが、血管に戻した活性化リンパ球ががん病巣へ集まるかどうか、がん細胞を殺傷する攻撃力と特異性(特定の異常細胞のみを攻撃する性質)をもつのかどうかが問題点としてあげられています。
自分自身の免疫細胞を体外に取り出して増殖活性化させてから体内に戻すことで、自身の免疫力を高めていく免疫細胞療法は、患者さんやご家族の大きな悩みの一つでもあった強い副作用の心配がないことが大きな特徴です。
当クリニックでは1回に100~150億個の活性化リンパ球を投与しますが、これほど投与しても発熱以外に大きな副作用がでないことを確認しています。投与した当日に、5人に一人の割合で38℃前後の発熱が見られますが、すぐに解熱し翌日まで続くことはありません。免疫力が上がることで、逆に身体のコンディションが良くなったり肌つやが良くなったりする患者さんもいらっしゃいます。
免疫細胞療法には副作用がほとんどないことは大きな利点の1つですが、進行がんの治療として単独で使用するにはまだ不十分であると言わざるをえません。単独使用で、腫瘍マーカーの低下や進行を遅らせることは可能ですが、それ以上の腫瘍を縮小・消失させるなどの効果を期待するには治療法の工夫・改善が必要です。その理由は、簡単にいえば、がんはすでにからだのがんを排除する免疫反応を抑えながら出てきたものですから、体外で増やした活性化リンパ球を入れても、がん細胞はすでにそれに対する抵抗力を持っているため、その効果には限界があると考えられるからです。
そこで、抗がん剤や放射線を併用することでがん細胞を弱らせ、免疫に対する抵抗力を落とした上で免疫療法を行うと、顕著な効果が現われます。
ニューシティ大崎クリニックでは、抗がん剤を使わずに治療するときは、おもに免疫力を上げて再発予防やQOLの改善を目的とします。進行がんの治療の場合は、抗がん剤や放射線の併用を推奨しています。