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ニューシティ大崎クリニックでは平成16年7月の開院以来今日まで、500例以上のがん患者さんに「高活性NK(ナチュラルキラー)細胞療法」を行ってきました。もっとも多かったのはすい臓がん、続いて肺がん、結腸・直腸がん、肝がんとなっています。

がんが治療で小さくなったり消えたりすると、本当にうれしくなります。抗がん剤の治療効果の判定方法として、世界的に認められたRECISTガイドラインがあります。これはがんの大きさの変化をみるもので、奏功率として短期間に効果判定ができるのが利点です。
しかし正確な治療効果は、がんの大きさの変化よりも治療後の「全生存期間」や「生存率」を比較すべきとされています。当クリニックでは、がん患者さんがいかにがんと共生しながらできるだけ長い期間健やかに暮らせるかを、効果の重要な指針としてとらえています。
多々あるがんのなかでも、すい臓がんの5年生存率は特に低いことが知られ、世界に共通しています(国立がんセンターホームページ:部位別がん生存率の国際比較)。
最も治療が難しいとされるすい臓がん。このすい臓がんに対して、ニューシティ大崎クリニックの高活性NK細胞療法がどれだけの効果があったのかを調べれば、他のがんへの効果も推定できると思われます。
がんの治療効果を一番正確に表わすのは、がんが小さくなったことではなく、生存期間(=どれだけ延命効果があったか)を比較することです。そこで、当クリニックで少なくとも4回以上免疫療法を行った27例のすい臓がん患者さんをすべて追跡調査し、すい臓がんと診断されてから現時点までの生存期間を調べ、発表されている抗がん剤単独の治療データと比較してみます。
生存期間を見る場合、50%生存期間(治療開始後、半数の方が生存できた期間)比較されることがよくありますが、ここでは分かりやすい1年生存率(治療開始後、1年生存できた方の割合)をみることにします。

抗がん剤の臨床試験では、手術不能の局所進行または転移性がんで、かつ軽い仕事ができるなど全身状態がよい方(PS 0-1)が対象になります。買い物もむずかしく、寝たり起きたり(PS 2-3)であると、副作用など他の要因が治療成績に影響を与えるからです。
(※PS=全身状態のステージ)
PS 説明
0 制限をうけることなく、発病前と同等にふるまえる
1 軽度の症状があり、歩行、軽労働や座業はできる
2 軽作業はできないが、日中の50%以上は床を離れている
3 しばしば介助がいり、日中の50%以上は床についている
4 身の回りのこともできず、終日床にいる
あまり有効な抗がん剤がなかったすい臓がんに「ジェムザール(薬品名:ゲムシタビン)」が登場し、臨床試験でその延命効果や疼痛の軽減などが明らかにされ、これが世界中で最初に使われる抗がん剤となりました。
しかし、その1年生存率は20%前後とまだまだ低いのが現状です。2006年にターセバ / タルセバ(薬品名:エルロチニブ)をジェムザールと併用すると、ジェムザール単独治療での1年生存率が17%から24%に上がり効果が高いと注目されましたが、50%生存期間で比べると、わずか2週間ほど延長しただけでした。
日本では、すい臓がんの2つ目の抗がん剤としてTS-1が承認され使われるようになり、ジェムザールと同等以上の効果があると報告されました。現在はジェムザール+TS-1の同時併用の臨床試験が行われています。
グラフにみるように、日本の代表的がん専門病院である国立がんセンターと海外での報告では、1年生存率は20〜30%で、他のがんと比べてまだ満足すべきものではありません。
4回以上の高活性NK細胞療法を行ったすべてのすい臓がん患者さん(27例)の生存期間をご覧ください。(3回以下の患者さんは投与回数が少なすぎ効果判定は難しいため省いています)
相乗効果を期待できる抗がん剤との同時併用を勧めており、約8割の方が抗がん剤を併用していました。
27例の1年生存率は63%でした。グラフにあるように、抗がん剤だけと比べて治療結果は2〜3倍高く、併用による相乗効果がでています。この中には治療開始時には全身状態が既に良くないPS 2〜3が12例含まれ、前述の抗がん剤臨床試験より悪条件での結果です。
一般にすい臓切除後の1年生存率は50〜70%と高いため、切除した8例(当院には切除後の再発・遠隔転移のため治療)を除き、切除不能だった19例の患者さんだけを見ても、1年生存率は58%と効果があることがわかります。また、遠隔転移のある場合やPS2〜3の全身状態が良くない場合を見ても、1年生存率はそれぞれ63%、58%で、転移した進行がんでも寝たり起きたりで全身状態が思わしくなくても、高活性NK細胞療法を併用することによって抗がん剤単独よりも大幅に1年生存率が延長することが期待できることを確認しています。
この例の中で10例は、高活性NK細胞療法を開始したときに、すでに肝臓などに遠隔転移がありましたが、平均生存期間は平成21年4月現在で20.7ヶ月(50%生存期間18ヶ月)で今も伸び続けています。
現在の治療で50%生存期間は10ヶ月前後ですから、それと比べると大幅な延命効果と言えます。これらの患者さんの免疫力を調べると特徴があります。高活性NK細胞療法を繰り返すことで、早期に血液中のNK細胞数、NK活性、NKG2D陽性リンパ球数が数倍に増え、これを長期にわたり維持しているのです。投与したNK細胞の「質と量」を最大限に生かした療法が功を奏しています。
すい臓がんは進行が早くもっとも治療が難しいがんの1つですが、抗がん剤と高活性NK細胞療法を併用することで、抗がん剤だけでは得られない効果があります。からだの免疫力を大きく高め維持することは、がん治療にとても大切な要素であることがお分かりいただけるかと思います。