現在がんの治療に用いられている免疫細胞には、Tリンパ球、NK(ナチュラルキラー)細胞、樹状細胞などがありますが、これらの免疫細胞がどのようにしてがん細胞を攻撃するかそのメカニズムを簡単にまとめてみましょう。
がん細胞が発生すると、まず抗原提示細胞である樹状細胞によって感知されると考えられています。樹状細胞の名前は、その形態が樹木が枝を出すようたくさんの突起を出しているところから来ています。樹状細胞はがん細胞を貪食(がん細胞を食べて消化すること)し、がん細胞にあるタンパク質の一部(断片)を自分の細胞表面に提示します(図1)。
このタンパク質の断片ががん抗原といわれるものであり、このがん抗原をTリンパ球が認識します。つまり、Tリンパ球は樹状細胞からがん細胞の情報(がん抗原)をえて、はじめてがん細胞が発生したことを知るわけです。Tリンパ球が樹状細胞によってがん情報を教えられる過程を抗原提示といい、これによってTリンパ球は活性化します。活性化したTリンパ球は自分自身の増殖因子であるインターロイキン2(IL-2)を分泌しながら盛んに分裂し増殖します。Tリンパ球が分裂、増殖する過程で、がん細胞を殺傷する能力が備わります。こうして活性化したTリンパ球はがん細胞表面に存在するがん抗原を目印に、がん細胞を攻撃、殺傷します。